2010年 05月 25日
停滞 |
6月4日。
ちょっと旧い、20年かそれくらい前の日本の街並みを母と一緒に歩いている夢を見た。
目が覚めてから、なんだかひどく懐かしい気持ちに襲われた。
街並みが懐かしかったのか? それとも母が懐かしかったのだろうか……?
いつものように午前9時頃起きて一度小便をし、その後は午後5時過ぎまで寝たり起きたりという感じでシュラフの中で過ごす。
シュラフに入ったまま行動食をつまみ、何か読んだりするのが最高の幸せである。
ただ、残念ながら今回の我が隊には本が1冊しかない。
なぜ1冊しかないかと言えば、荷物を減らしたかったからではなく、出発直前があまりに忙しく、本の用意にまで頭が回らなかったせいである。本なんて成田空港でも買えるのだから我ながら不思議に思うのだが、出発時はそれほどゆとりがなかったのである。
佐野が持ってきたその貴重なただ1冊の文庫本『君はアメリカを見たか』というアメリカのルポルタージュは面白かったが、写真が多く、すぐに読み終えてしまった。
南極にはたくさん本を持っていこうと固く決意する。
読むものがなくなったので、コペンハーゲンの地図とその説明文を熟読する。
こういった娯楽の少ない場所に長くいると、読書や音楽といったものに対する感受性が高まるような気がする。
テントの外ではヒューヒューと風の音が聞こえる。
昼過ぎより吹雪となった。
午後6時にホルガーと交信すると、いま私たちは嵐の真ん中にいるとのことだ。
いつものようにお茶をつくり、スープを飲んだあと、天気の様子を見ながら待機する。
南極には音楽テープも持っていこうという話になり、その曲選びをはじめる。
1970年代の日本の歌謡曲を3人で思いつくかぎりに挙げていく。
結局停滞となった。
by antarctic-walk
| 2010-05-25 10:05
| グリーンランド